冬の走りについて

 とても寒い季節ですが、走り出してしまえばなんとかなります。ただし、防寒対策だけは十分にしましょう。手袋は必需品です。私の場合でしたら特に寒い日は手袋(吸湿性があるので軍手ですが)を二重にして走っています。それと長時間走ると乳首がすれて出血することが多いので胸にバンドエイドをはっています。バンドエイドを忘れると乳首がとても痛くなってしまうのです。夏場とちがって体がオーバーヒートすることはなく、脱水症をおこしにくいのでいちど体があたたまってしまえば楽に走れます。

 冬場は寒いので筋肉も硬くなりやすく、急激な運動は避けなければいけません。数年前の寒い冬の夜に、テニスをしたことがあります。ウオームアップを全くせず、急に始めたら左下腿でブチッという感覚があり、突然に歩くこともできなくなりました。急に運動をしたために、肉離れをおこしてしまったのです。数日すると左足の下半分が全体に内出血のため紫色になってしまいました。2か月ほどで治ったのですが、冬場の運動は急激におこなってはいけません。この時に、足の存在に始めて気づきました。ふだんは何も気にせずに歩いたり、走ったりしているのですが、足は非常に重要な仕事を連日していたのです。数十kgある体を安定した状態で運搬できるのです。故障した状態では単に歩くだけでも困難で、歩くという行為がかなり高度の機能であるということ、走るなどということはとんでもないことだと感じていたのですが、治ってしまえば、そんなことはすっかり忘れてしまって、むりをして今度は膝を痛めてしまいました。

 運動をしているとエンドルフィン(麻薬に似た作用をもつもの)が分泌されて、恍惚状態に近い状態になると聞いていたのですが、残念ながら、まだそんな幸せな状態になったことはありません。しかしとても寒い朝、夜明け前に走っていたらあまりの寒さに頭がぼーっとして半分眠った状態で走ったことはあります。厳しい寒さの中で汗をかくとウンドブレーカーの襟のまわりに氷が帯のようについていたこともあります。

 私は一日のうちで夜明けが一番好きです。暗い夜空がしだいに明るくなってきて、東の空が薄紫となり、日の出前にはオレンジ色に輝きだし、太陽がそのまばゆい光を覗かせます。一日のうちでこれほどドラマチックな時間帯はありません。太古の時代から、人類は何度日の出を迎えたのかは知りませんが、日の出を眺めるたびに、太陽の偉大さを感じます。冬場は日の出が遅いため、日の出が見やすい時期です。日の出前はとても寒いのですが、日の出とともに暖かくなってきます。平成11年1月は元旦、2日、3日と3日間連続して走りながら日の出を見ることができ、良い新年でした。とくに3日の日の出は変わっており、日の出直前に太陽の上に赤い光の柱のようなものが立っていました。太陽柱という現象で、空気中に浮かんでいる薄い氷の結晶に太陽の光が反射してこのような現象となるようです。北海道では多いようなのですが、生まれてはじめての経験でした。

 冬に走っていて私が一番困るのが、寒さのために手が痛くなることです。手袋を2枚重ねても効果はありませんでした。最近ではミトンタイプに、小さい使い捨てカイロを入れるようにしています。これで楽になりました。長年の問題が解決したのです。


    

     夜明け前。                            そして、日の出。